パンプキン・シザーズ 3巻

この物語(巻頭より抜粋)
戦争があった。永きにわたるフロスト共和国との戦乱は、帝国内各地に深い傷跡を残した。「薄氷の条約」と呼ばれた停戦から3年。飢餓、疫病、兵隊の野盗化…。それは”戦災”というもう一つの戦争だった。

ということで、架空世界(第1次世界大戦後くらいを想像してください)、戦後の混乱期、戦災という名の戦争を戦う陸軍情報部3課の面々の活躍の物語。コアとなるのは3課の熱血小隊長で名門貴族の令嬢のアリス少尉と、かつて戦時下において公式には存在しない部隊に所属していたオーランド伍長のふたり。この対照的とも言える二人を中心に、様々な矛盾とやりきれない現実を目の前にし、それでもがんばっていく3課の活躍が好印象です。


本巻中、最も気に入ったシーンが次のシーンです。


下水道麻薬事件を片付け、軍の食堂で食事をする面々。
オレルド准尉「地下下水道でオメエがなにしたかったかはしらねぇがよ。だが、任務は果たしたんだ。難民を誘導し、麻薬経路も潰した」
オーランド伍長「助からなかった人間もいます」
オレルド准尉「(怒りながら)何人だ? 何人助けりゃ伍長様に合格もらえますかね?」


まぁ、いろいろこれまでの経緯とか背負ってるものとかあるのでセリフだけでは言葉の重みが伝わらないとは思いますが。で、対となる次のシーン。


オレルド准尉「何人助けたの助けないのって、数ばっか見やがる。玉入れ競技の玉じゃねぇんだぞ。」「千人いて…一人しか助けられなかったら”失敗”なのか!? 助かったそのたった一人に 「お前は助かったけど意味は無い」って言うのか!?」
(中略)
オーランド准尉「…でも、やっぱり全員助けたいです」
オレルド准尉「そうか…じゃ、また近いうちにケンカになるな」
オーランド准尉「…ハイ!」


シブくて、しかし泣けるシーンでした。男はこうでなくちゃ。
絵柄はややライトですが、話はまじめで重く、しかし味のある話です。現在3巻とお手ごろな巻数なのでぜひ読まれると良いと思います。